出産するときにカンガルーケアを希望するか、しないか聞かれて迷う人って結構いると思います。
カンガルーケアは希望制ですが、希望してもできない時はあります。
カンガルーケアは母乳の出も良くなるなどのメリットもありますが、リスクもあるので病院の説明を聞いてしっかり把握しておきたいものです。
カンガルーケア(早期母子接触)とは
母親が赤ちゃんを胸に抱き、お互いの肌と肌を密着させ、保温と授乳行うことです。
その姿がカンガルーの子育てを連想させることから「カンガルーケア(早期母子接触)」と名付けられました。
1970年代、南米コロンビアの病院で始まったカンガルーケア。
当時のコロンビアでは新生児医療の設備が整っていなかったので、保育器不足に悩んでいました。
そのため、1つの保育器に2人以上の赤ちゃんを寝かせた結果、院内感染を起こすこともあったため代替え案のために考えられた保育方法です。
代替え案であったカンガルーケアですが、調査の結果、予想以上の効果がありました。
新生児の低体重・栄養不良、感染症リスクが改善に向かったのです。
更に母親の養育放棄も減少したことが判明し、赤ちゃんへの愛着も増すことがわかります。
こうしてカンガルーケアは、発展途上国を中心に、低出生体重児のケア方法として多国で実践されるようになります。
病院によって時間はさまざまですが、30分~2時間程度行うようです。
カンガルーケアの効果
- 母乳が出やすくなる
- 赤ちゃんが安心感を抱きやすい
- 赤ちゃんへ愛情が湧く
愛情ホルモンと呼ばれるオキシトシンはスキンシップによって分泌されます。
産後すぐに赤ちゃんと早い段階で触れ合うことによって、このオキシトシンの分泌が促されるのです。
このオキシトシンは筋肉を収縮させる働きがあり、出産後の乳腺周辺の筋肉を収縮させ、それによって乳腺小葉にたまった母乳を乳管に押し出しています。
赤ちゃんがおっぱいを飲むと、母親の体内からオキシトシンが盛んに分泌され、母乳が出やすくなることは科学的に証明されてるのです。
しかし、母乳の出は体質の方が大きく関係しているので、した方が良いだけっという認識に留めて置いた方が良さそうです。
カンガルーケアは絶対に必要なものではない
カンガルーケアというのが本来は低体重児向けのケア方法です。
絶対に必要な物ではありません。
これにはカンガルーケアの問題点もあるからなのです。
- 赤ちゃんの呼吸ができなくなる
- 赤ちゃんの体温が下がる
- 転落
カンガルーケアをするときは赤ちゃんの容体が安定していて、医師からの許可があって実施されます。
しかし、産まれて間もない赤ちゃんの呼吸は不安定で、容体も急変しやすいです。
カンガルーケア中に赤ちゃんの呼吸が弱くなったり、止まってしまうといった事例も報告されています。
体温調節もまだまだ未熟なため、低体温症に陥りやすいといったリスクもあります。
赤ちゃんを移動させたりしていると、転落の危険もともないます。
出産直後のお母さんは出産で疲れているので判断力が弱っていて、手がすべった!っという事故にもなりかねなません。
カンガルーケア中、看護師さんや助産師さんは片づけなどで、そばにはいません。
この間に何か赤ちゃんにトラブルがあっても、母親は産んだばかりなので気づけないことも多いのです。
カンガルーケアを希望する・しない?
私は3人出産して、3人とも希望しました。
しかし、できたのは2人目だけでした。
他の2人は帝王切開や、他のお産と重なって病院側に余裕がなく、できませんでした。
ユニセフやWHOによる共同声明「母乳育児成功のための10か条」ではカンガルーケアを推奨しています。
後になって考えてみると、カンガルーケアで訴えられることもあるため(経過観察を怠った)病院側もやって欲しくないのが本心なのではないでしょうか。